2025.11-14
『覚悟は静かに積み上げる』鈴木優磨選手が語る“オフシーズン”の本質
SOCCER

シーズンが終わり、スタジアムの喧騒が遠のく冬。多くの選手が束の間の休息を取るなか、鹿島アントラーズの鈴木優磨選手は静かに自分と向き合う時間を持つ。彼にとってオフシーズンは、ただの休暇ではない。

「サッカーを完全に忘れて、別のことをやります。1年間フルに戦うための心と身体を作る時間です。フレッシュな状態でサッカーを見ると、違った側面を感じることができます」

頭をリセットする時間と、新しいシーズンに向けて身体を準備する時間。距離を置くことで見えてくるものがある。この「離れる時間」があるからこそ、また戻ってきたときの集中力は研ぎ澄まされる。冬の寒さの中で行うトレーニングは、精神も肉体も試される。

シーズンインから最高の状態に

 

冬のトレーニングでは、心肺機能の維持や筋力の強化を意識して取り組む。

「監督によってはシーズンに入ってすぐ強度の高い練習をする方も多いので、ついていける身体を作ることを意識しています」

厳しいプロの世界では、準備不足は即座に露呈する。シーズン開幕からの数週間、ハードな練習についていけない選手は、そこで遅れをとる。オフシーズンの準備が足りなければ、スタートダッシュで躓く。冬に身体を作り込む理由は明確だ。

長年プロとしてキャリアを重ねる中で、冬の過ごし方にも変化があった。

「以前は長く準備期間を取っていましたが、最近は短期間で二部練を取り入れて一気に身体を上げていきます。その方が効率よく、自分に合っています」

限られた時間で最大の成果を引き出す。無駄を削ぎ落とし、集中して追い込む。目の前の課題に真摯に向き合い、着実に積み上げることが、結果的にシーズンでの成功へとつながる。

覚悟を積み重ねるオフシーズン

 

しかし、オフシーズンの目的は決して短期的なピークに合わせることではない。1年間怪我なく戦い抜く身体を作るための時間でもある。寒さや朝の暗さで身体を動かすことが億劫になる日もあるだろう。しかし、その壁を越えることが、自分を高める唯一の方法だという。

「オフシーズンのトレーニング次第で、シーズンの結果は良くも悪くも変わります。自分を成長させたいと思えるのは自分しかいませんから。きついと思っていても、やるまでがきついだけで、やった後は気持ちがいい。やり切れれば、自分に勝てたと思えます」

冬の孤独な時間、見えない努力の積み重ねが、やがて試合での輝きに変わる。オフシーズンは、自分を超えるための時間、そして静かに燃やす覚悟の時間だ。

強い選手は「跳ね返すことができる」

 

鈴木選手にとって「強い選手」とは何か。

「1年間通して怪我をしない選手ですね。苦しい時期は毎年必ずありますが、その苦しさを跳ね返す力を持っている選手こそが本当に強い」

派手なプレーや華々しい活躍ではない。1年間、コンスタントに戦い続けられる身体。それこそが、プロとしての真の強さだと話す。

シーズン中、苦しい時期は必ず訪れる。連戦の疲労、小さな痛み、思うようにいかないプレー。そんな波を乗り越えられるかどうかは、冬に作った土台次第だ。

「波のように、良い時も悪い時もある。その波をどう乗り越えるかが大切です」

順風満帆の時も、逆境に立たされる時も、変わらず自分と向き合う。調子が良いときこそ、次の谷に備える。調子が悪いときこそ、冬に積み上げた土台を信じる。

冬に自分を律し、準備を積み重ねる者だけが、シーズンの舞台で輝ける。鈴木優磨のオフシーズンの哲学は、次の未来を切り開いていく。

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