より高いパフォーマンスを発揮するためには、快適な環境からより厳しい環境へ出ていくことが重要です。我々は長年にわたり、最高のアスリートたちと極限の環境でテストを実施し、肉体的・精神的な回復力を強化してきました。そして今、冬に対する認識をより多くのアスリートに伝えていきたいと考えています。
- ポール・ウィンスパー(アンダーアーマー ヒューマンパフォーマンス&リサーチ担当副社長)
コールドトレーニングは、なぜ効果があるのか
寒冷地でのトレーニングによって、身体に刺激を与え、精神の集中を促すことで、急なストレスや未知の状況に直面した時に、正しく体を動かす準備につながります。それだけでなく、トレーニングの様々な段階においてメリットがあり、パフォーマンスと回復の両方を向上させる効果を得ることができます。
1.トレーニング
身体は急なストレスにさらされることで刺激され、ミトコンドリア生合成(骨格筋の適応)をサポートし(1)、全体的にエネルギーが増加する感覚が得られ、瞬時の判断や切り返しを素早く行うための反射が高まることが研究で示唆されています。
2.リカバリー
全身冷却療法は抗炎症作用を助け、筋肉の炎症と腫れを抑えます。全身を冷やすことによって筋肉の負担が軽減し、炎症マーカーが減少することが分かっています(2)。
3.長期的な影響
寒い日に屋外でトレーニングをすることは概日リズム※の改善につながります(3)。これによって睡眠の質が向上、免疫反応が改善され、激しい運動などのストレス要因の後に身体を通常の状態に戻しやすくなります。さらに自立神経が強化され、覚醒状態とリラックス状態をスムーズに行き来することが可能になります。
※概日リズム:通常、体内時計は24時間の周期を適切に同調させることができないため睡眠に障害が生まれる。睡眠・覚醒リズムは、体温などの自律神経系内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などと同様に、体内時計によって約1日のリズムに調整されている。約1日の周期をもつリズムのことを概日リズムという。
(1)The effects of exercise and cold exposure on mitochondrial biogenesis in skeletal muscle and white adipose tissue (2)Whole-Body Cryotherapy in Athletes (3)Circadian rhythms, sleep, and metabolism