2026.3-5
「頂への再挑戦」メジャー4年目の勝負、吉田正尚が研ぎ澄ます『READY』の境地
BASEBALL
ボストン・レッドソックス所属、吉田正尚選手。バッターボックスに立つその背中からは、静かな、しかし確実に熱量が伝わってくる。彼が世界の舞台で刻み続ける一打一打は、自らの限界を決めず、常に「もっと先へ」と歩みを進める、一人のアスリートの哲学が形になったものだ。
2026年はボストン・レッドソックスとの5年契約の4年目という極めて重要なシーズン。昨シーズン右肩の手術を経て285日ぶりに復帰した公式戦で3安打1打点の猛打を振るい多くのファンに「不屈の男」を印象づけた。そんな彼自身の内面は驚くほど冷静かつストイックに研ぎ澄まされていた。
MOVIE
「今は山の麓にいる」—逆境を登りきるための準備
現在の自分を山に例えるなら、まだ「だいぶ下の方にいる」と彼は語る。これまで首位打者や最高出塁率といった数々の栄冠を手にしてきてもなお、「満足いく結果は一つもありません」と言いきるその向上心こそが、彼を突き動かす原動力だ。
肩のリハビリという苦しい時期を乗り越え、納得のいく打席や守備、走塁を一つひとつ追い求めるプロセス。その歩みそのものが、「頂を目指す」という信念に向けた『READY』なのである。
「日の丸の誇り」—世界一のバトンを繋ぐために
その準備の先には、世界最高峰の舞台であるメジャーリーグでの戦いだけでなく、再び日本の誇りを背負って戦う「世界一への挑戦」も見据えられている。
前回の世界大会での熱狂から3年、メジャーの仕組みや対戦相手を熟知した今、彼は「また違った感覚でプレーできる」という手応えを感じている。
「日の丸のユニフォームを着ること自体が光栄ですし、誇りだと思ってます。国歌斉唱の瞬間の独特な雰囲気は、代えがたいものがあります」
日の丸を背負って戦う誇りを胸に、そして先輩方から受け継いだ世界一のバトンを次世代へ継承するために。そしてシーズンを通して自らを高めていくために。目の前の一球、一打と向き合っていく。
「ノイズを遮断する」—思考をシンプルに研ぎ澄ます
トップレベルのプレッシャーがかかる中で、吉田選手はどうやって集中力を保ち、自分を『READY』の状態に置いているのか。
周囲の評価やメディアの喧騒といったノイズをどう遮断しているのかという問いに対し、彼の答えは驚くほどシンプルだった。「やるべきことをしっかりやる。自分の決めたことを貫く」。そして、集中を無理に持続させるのではなく、「大きな目標に向かって何が必要で、何が必要でないのかを選別することが重要」と話してくれた。
オンとオフの“メリハリ”を自らコントロールすることで、彼は常に戦える状態を維持している。
2026年、勝負に向けて
「必死にプレーするだけです」。その言葉の裏には、緻密な準備と、どんな逆境をも登りきろうとする不退転の決意が込められている。
吉田選手が今見つめているのは、麓から見上げる高い山頂ではない。そこへ至るために、今日この瞬間に何を選ぶべきかという自分自身の『READY』である。
