2024.11.014
「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」開催。

標高1300mを超える準高地、スポーツ合宿の聖地である菅平高原(長野県上田市)の秋は短い。その10月後半、3日間に亘り、菅平のメイングラウンドである「アンダーアーマー菅平サニアパーク」で、女子サッカーのフェスティバル(イベント)「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」が開催された。

この年齢層の女子のチーム数は、男子の10分の1、400ほどと言われており、各県のチーム数や強豪校が限られるため、地域を超えた交流戦の機会は今まで乏しかったという。こうした状況に対して、交流戦や体験、学びを提供しようという試みが、「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」なのである。

集まったのは、東日本エリアの高校とクラブチームが8つ。いずれも県大会の1位に肉薄する実力を持つチームたち。いわば、逆境を跳ね除けてトップを目指す“アンダードック”と言えるチームばかりだ。参加の8チームには、3日間に亘るトーナメント戦に加え、選手が活躍できる場を増やすフレンドリーマッチ、走りを鍛えるスプリント講座、女性アスリートのカラダやスポーツブラの知識を得る講座と盛りだくさんな内容が提供された。

第1回の「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP(U-18)」に参加したのは、聖和学園高等学校(宮城)、ちふれASエルフィン埼玉マリ(埼玉)、帝京長岡高校(新潟)、帝京第三高等学校(山梨)、日本航空高等学校(山梨)、ふたば未来学園高等学校(福島)、前橋育英高等学校(群馬)、三浦学苑高等学校(神奈川)の8チームが出場。

「女子サッカーのアスリートに、学びの場、体験の場を提供したい」

「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」を主催したのは、アンダーアーマーを日本で展開するドーム。ブランドマーケティング部の部長であり、自身もサッカープレーヤーでもある山脇龍太は、このフェスの開催の価値を次のように語る。

「なでしこジャパンが世界一になって盛り上がっているように思われますが、女子サッカーを取り巻く環境は、それ以前と大きく変わっていません。強豪チームに選手は集まりますが、地元に女子サッカーチームがそもそも無かったり、男子に比べて大会の機会が圧倒的に少ないのが現状です。女子サッカーのフェスティバルとして『UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18』を育てることに価値があると感じています。」(山脇)

このフェスの開会式で、主催者として挨拶したドームのコンシューママーケティング部の阿部敏も、高校アスリートへのフォーカスを増やすなかで、女子サッカーへのサポートの必要性を痛感したという。そこで、この大会の運営費用をアンダーアーマーが運営する「1% For The Athletes」で賄うことに決めたという(「1% For The Athletes」については後に詳しく紹介しよう)。

「アンダーアーマーは、上田市と合宿の聖地である菅平を盛り上げる活動を行っています。ラグビーだけでなく、サッカーの方々にもしっかり訴求して、菅平を特別な場所だと感じて貰いたいと考えています。100面を超える天然芝グラウンドや充実の宿泊施設などの菅平の環境を活かし、女子サッカーの聖地と言われるように育って欲しいですね」(阿部)

左:アンダーアーマーのブランド全般を統括する山脇
右:ブランドとアスリートとのコミュニケーションを統括する阿部

成長に直結する『戦う場』

前述の通り、この年齢層の女子のチーム数は、男子の10分の1、400ほどと言われており、各県のチーム数や強豪校が限られるため、地域を超えた交流戦の機会は多くない。

「優勝や順位だけを気にするのではなく、大会中に多くのチャレンジをして欲しいんです。チャレンジすることで、自分やチームの何が通用して、何が通用しないのかを明確にして欲しいと思っています。この大会で成長に繋がる気付きを持ちかえって欲しい。」(阿部)

と語る通り、3日間、順位決定戦だけではなく、交流戦も行われた本大会では常にチャレンジする姿を見ることができた。

女性として、アスリートとしての『学びの機会』

本大会では、戦う場だけではなく、アスリートの成長に繋がる『学びの機会』が提供された。

その一つが、『スプリント講座』である。2012年までプロの陸上選手として活躍。200mハードルのアジア最高記録保持者であり、現在はJリーガーやプロ野球選手などへの指導でも定評がある秋本真吾氏を特別講師迎え、サッカーの競技力向上に欠かせないスプリントについて、正しい走り方のレクチャーと指導が行われた。

もう一つが女性アスリートとして気を付けたいトラブルに対する知識を学ぶ『ウィメンズ・クリニック』。学生時代から陸上選手として活躍され、2015年の陸上日本選手権では100m2位という成績を持ち、現在は長野県千曲市のさわらび内科クリニックに努める淺野有紀先生(「AC長野パルセイロ」チームドクター)を迎え、アスリートとしての実体験を交え、医師としての知識に基づいたアドバイスが実施された。

アンダーアーマー女子サッカー大会in菅平
アンダーアーマー女子サッカー大会in菅平

上:秋本コーチによる『スプリント講座』
下:淺野先生による『ウィメンズ・クリニック』

『1% For The Athletes』アスリートが支え合うサッカーフェス

『1% For The Athletes』
『1% For The Athletes』

「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」の運営に関わる費用は、アンダーアーマーの『1% For The Athletes』というプロジェクトが担っている。この『1% For The Athletes』を支えているのは、アンダーアーマーのメンバーシッププログラム「UAリワード」のメンバーたち。そう、我々アスリート自身なのだ。

「UAリワード」のメンバーになってアンダーアーマー製品を購入すると、その金額の1%をアスリートに還元するというプロジェクトが『1% For The Athletes』。女子サッカーなどの次世代アスリート支援だけでなく、子どもたちのかけっこ教室などのスポーツ振興、女性アスリートのためのカラダに関する講習会などの啓蒙活動なども行われている。

「UNDER ARMOUR WOMEN’S SOCCER CUP U-18」の開会式で、主催者を代表して挨拶したドームのコンシューママーケティング部の阿部敏も、今回の取り組みについて次のように語っている。

「アンダーアーマーの『1% For The Athletes』を通じて、これからもアスリートたちが競う場の提供や、正しい知識を学ぶ場の提供、そして正しい知識に基づいたサービスや製品を体験する場を設けていきたいと考えています」(阿部)

上田市とアンダーアーマーが取り組む、「アンダーアーマー菅平サニアパーク」および「アンダーアーマー菅平アリーナ」の活動のレポートは、今後も随時、発信していきます。

 

取材・文/大田原 透 撮影/池田吉則(日広)

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