2025.05-26
暑さに負けず、山を駆ける アンダーアーマー2025年夏の2大プロダクツ
RUNNING
春の菅平高原(長野県上田市)の象徴とも言える、根子岳(ねこだけ)。この山に3人のトレイルランナーの姿があった。アンダーアーマーを日本で展開するドームの社員で、現在も競技を楽しむ市民アスリートの阿部優輝と内山元晴、そして免疫機能の不全による一型糖尿病の治療をしながら様々なチャレンジを行うモデルの星南(SENA)さんである。
この3人が走るレースは「スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ」。花の100名山のひとつ2207mの根子岳(ねこだけ)の山頂をコースに組み込み、18回目を数えるトレイルランニングのレースである。
今回、3人が出場したコースは「30K+」。根子岳に向かって牧場を縫って山頂へ駆け上がり(一部に歩行区間アリ)、眺望バツグンながら不安定な砂礫のトレイルを下り、後半の随所に登り返しが待つ。しかも大会当日は、20m超という強風が吹き荒れる。


元大学野球部員だという阿部は、普段はロードのランニング大会を走るが、トレイルランは初参戦。
スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ
「スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ」のコース自体は、急峻ながらもテクニカルではない。しかしながら2200m超の吹きさらしのコースでは、体感気温が一気に低下するため、低体温症のリスクが付きまとう。
もちろん、無風=安全とも限らない。日差しと気温は容赦なくカラダを痛めつけ、大量の発汗がパフォーマンスを低下させる。対策は、強烈な日差しからのプロテクト、適切なタイミングでの水分と電解質を補給、体温の上昇を抑えることが基本となる。
この3名、実はトレイルという過酷な環境下でアンダーアーマー製品の性能を試す、文字通りのフィールドテストとしてレースに参加している。試す性能は、2025年夏にアンダーアーマーが提供する、進化した速乾ファブリック、新素材のARMOURDRY(アーマードライ)である。


モデルの星南(SENA)さんは、1型糖尿病、(自己免疫の病気で、生涯に渡りインスリン治療が必要)という個性と向き合いながらマラソンをはじめトライアスロンやトレラン、国内外の登山にチャレンジし続けている。
過酷なトレイルで、アンダーアーマー製品をフィールドテスト
ARMOURDRYは、肌に接する面で汗を素早く吸収し、スグに生地表の拡散面へ送り出す。今年も間違いなくやって来る酷暑のために、アンダーアーマーが日本のコンシューマーのために新たに開発した“秒速”の速乾素材なのである。
「アンダーアーマーは、コンプレッションウェアからスタートしたブランドです。ウェアに採用する高機能な素材やその肌触りには、創業当時から自信を持っています。今年から始まるARMOURDRYは、高湿度の日本の夏に向けて、日本で新たに企画開発しました」
と語るのは、ドームの中園健太郎。ブランドマーケティング部に所属する中園の担当は、ランニング全般。もちろん中園も、ARMOURDRYの高いポテンシャルが、普段のトレーニングシーンのみならず、マラソンやトレイルランなどのレースシーンでも発揮されることを期待するひとりである。


「アンダーアーマー菅平サニアパーク」をスタート・ゴールに行われたトレイルランニングのレース会場にて、インタビューに答える中園。トレイルランナーたちをサポートし、彼ら彼女らの“生”の声を集めるべく、菅平に足を運んだという。
熱をためないヒートギア、吸汗速乾のARMOURDRY
「アンダーアーマーの暑熱対策の素材には、ヒートギアとアイソチルもあります。ヒートギアとアイソチル、そして新素材のARMOURDRYは、その機能が異なります。ヒートギアは肌に密着させることで気化熱を利用し、アイソチルは接触冷感の糸によって、いずれもカラダに熱をためません。一方のARMOURDRYは、吸汗速乾によってパフォーマンスの低下を防ぎます」(中園)
中園が薦めるのは、熱をためないヒートギアのタイツと、吸汗速乾のARMOURDRYのショートパンツの組み合わせ。もちろん同じ目的で、ヒートギアのロングTシャツに、ARMOURDRYのTシャツのレイヤリングも賢い選択だと語る。
蒸し暑い日本の夏に重宝するのが、ARMOURDRYのソックス。今回のように沢を渡渉するトレイルでは、濡れてもスグに乾くARMOURDRYのソックスは、蒸れや擦れを軽減できるため、マメなどのトラブルも防げる。過酷なアウトドア環境では、ソックス選びもシビアなのだ。


Tシャツ/UAアーマードライ エリート ショートスリーブ Tシャツ、7,480円(税込)。カラー:着用のストリームに加え、ブラック、ホワイトの3色展開。サイズ:S~3XLの6サイズ展開。直営店限定。
ボトムス/UAアーマードライ エリート ショーツ、7,920円(税込)。カラー:着用のブラック、1カラー展開。サイズ:S~3XLの6サイズ展開。直営店限定。
ソックス/UAアーマードライ アイソチル ノーショー タブ ソックス、2,200円(税込)。カラー:ホワイト、ブラックの2色展開。サイズ:S~Lの3サイズ展開。ユニセックス。


Tシャツ/UAアーマードライ ショートスリーブ Tシャツ、6,930円(税込)。カラー:ホワイト、プライムピンクの2色展開。サイズ:S~XLの4サイズ展開。
ボトムス/UAフライ タイト 6インチ ショーツ、5,500円(税込)。カラー:着用のブラック、1カラー展開。サイズ:S~XLの4サイズ展開。
ソックス/UAアーマードライ ラン クッション ミッドクルー ソックス、2,200円(税込)。カラー:ホワイト、シリカグリーン、ミッドナイトネイビーなど5色展開。サイズ:S~Lの3サイズ展開(一部商品は、MとLの2サイズ展開、直営店のみで販売)。ユニセックス。
レース戦術のカナメは、汗冷えの回避
大量発汗による汗冷えの対策は、レースでの戦術としても極めて重要なファクターとなる。シェルなどのレイヤリングはもちろん、今回の3人にとって、ARMOURDRYの吸汗速乾性能が、レース結果に直結すると言っても過言ではない。
激しい上りでの大量の発汗によりウェアがカラダに貼り付いてしまうと、瞬時の動きのパフォーマンスを下げてしまう。しかし素早く汗が乾くARMOURDRYであれば、小まめに着替えができない環境下でもパフォーマンスを下げずに競技が続けられる。
吹きさらしのトレイルでの汗冷えも、ARMOURDRYを活用すれば予防できる。風除けのシェルなども上手に組み合わせて急激な体温低下を回避し、次の激上りに備える。その証拠に、トレイルで先回りして撮影した3人は、ご覧の通りのタフさでレースを戦っている。


「ARMOURDRYのTシャツは、汗をかいても(服が肌に)引っ付かず、ストレスがないです」(阿部)。「メッチャ乾きが早い」(SENAさん)。「湿度が低い環境もあって、ザックを背負っていてもべっとりした感じがしませんでした。ARMOURDRYソックスと組み合わせたので、シューズまで早く乾いたように思います」(内山)
感動のゴールを支えた、トレイル版UAインフィニット プロ
ウェアのみならず、アンダーアーマーのランニングシューズは急速にラインナップを増やしている。多くのランナーのニーズに合わせ、普段のトレーニングから自己ベスト更新、さらには表彰台を狙うレース対応まで、充実の進化を遂げているのだ。
トレーニングから初フルマラソン完走を目指すランナーの支持を集めるモデルが、UAインフィニット プロ。軽量にして反発性に優れるホバー+(プラス)素材をミッドソールに配し、長距離での走行安定性を重視した造りで、現在は2代目となるUAインフィニット プロ2が販売されている。
今回「スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ」を走った3人が履いたシューズは、UAインフィニット プロのトレイル版のモデル。アウトソールにビブラムソールを採用し、不整地での安定性を高めるためにミッドソールの厚みを抑えるなどの工夫を施しているが、基本的なプラットフォームは初代のUAインフィニット プロがベースである。


左シューズ/UAインフィニット プロ トレイル、11,550円(税込)。カラー:着用の1カラー展開。ユニセックスにて、サイズ:23~29㎝までの0.5㎝刻み、および30㎝の計14サイズ展開。
右シューズ/UAインフィニット プロ2、14,960円(税込)。カラー:6色展開。サイズ:25~29㎝までの0.5㎝刻み、および30㎝の計10サイズ展開。※ウイメンズは、4色&8サイズ展開。
「UAインフィニット プロ トレイルは、オンロードのランニングシューズに近いフィッティングなので、初めて選ぶトレランシューズにピッタリです。トレイルランニングに必要な性能をバランス良く盛り込んでおり、週末にのんびりトレイルを走る時も、今回のようなレースでも使える汎用性の高さがあります。値ごろ感もある、お勧めの一足です」(中園)
上り返しの多さに心が折れたと語りつつも、クールな表情で早々にゴールした内山も、UAインフィニット プロ トレイルを高く評価する。「ソールはオンロードを走ると少し固く感じましたが、トレイルに入るとバツグンな安定感になります。グリップも良く効くので、沢の渡渉や激下りでも不安なく走れます」
菅平高原の峰々の雪もやっと融け、新緑とともに一気に夏山シーズンを迎える。この夏の酷暑にARMORDRAYで備え、アウトドアシーンにも映えるトレランシューズを足に、思い切りカラダを動かそう。そう、汗の量だけ強くなるのだ。


背景に見える左の山は、菅平高原のシンボルの根子岳(2207m)。右は日本百名山の四阿山(2354m)だ。3人が使用したトレイルバックパックは参考商品(日本での発売は未定)。
取材・文/安藤翔太
撮影/池田吉則・花岡秀崇
今回のレース中、突発性疾患にて亡くなられた選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。