2024.07.11
初トレランレースは、菅平高原で! 高原と絶景、温泉が待っている。第17回「スカイライントレイル菅平」大会レポート。

長野県上田市北東に位置する、菅平(すがだいら)高原。夏はスポーツ合宿の“聖地”として知られると同時に、スイスのダボスとも友好関係を持つスノーリゾートでもある。この菅平を見下ろすシンボルが、花の名山としても知られる2207mの根子岳(ねこだけ)だ。
今年17回目を迎えた「スカイライントレイル菅平」は、スノーリゾートでもある菅平のスキー場を活かしたコースに加え、クライマックスには根子岳が待ち受ける、全長30㎞のトレイルランニングのレースである。
スタート・ゴール会場は、菅平高原の中心に位置する「アンダーアーマー菅平アリーナ」。このアリーナを起点に、「スカイライントレイル菅平」は(反時計回りで)菅平の高原の森と丘のアップダウンを繰り返す(15㎞のミドルの部も併催)。




「第17回スカイライントレイル菅平」2024年6月29日(土)開催。根子岳山頂を含む30㎞の「ロング」(制限時間8時間)、15㎞の「ミドル」(同5時間)がある。2025年の開催日は未定。詳細は、以下を参照。https://fields-co.jp/sugadaira/
「スカイライントレイル菅平」は、初夏の菅平高原のレタス畑を縫い、緑のスキー場のゲレンデを駆け上り、シラカバやシラビソなどの樹林帯を抜け、北アルプスや浅間山そして富士山まで見渡す大パノラマの絶景を走る、魅力のコースレイアウト。
東京からのアクセスも、北陸新幹線であっという間(最寄りは上田駅)。しかも菅平は、高原野菜をふんだんに使った料理や温泉など、さまざまなサービスを提供する宿泊施設も揃っている。トレランを始めて間もないランナーたちが挑戦しやすいレースとして、高い人気を誇るのも頷ける。


「スカイライントレイル菅平」大会実行委員長の大久保寿幸さん。本業は、菅平プリンスホテル専務取締役。菅平高原旅館組合副組合長、菅平観光協会宣伝部員でもある。
トレイルのレースを始めたきっかけは“新しいものが好き”だから
「菅平は、夏のスポーツ合宿、冬のスキーで知られていますが、自然が美しい春や秋のシーズンにも、シンボルとなるイベントが欲しいと考えていました。このレースが始まった頃は、まだ国内でのトレランイベントも少なくて、ブームとともに1000人規模の大会へと成長しました」
と語るのは、大会実行委員長の大久保寿幸さん。開催のきっかけは、レースの運営経験がある人物を紹介されたことだという。“新しいことが好き”な大久保さんたちが、運営やコース設定にも携わり、実行委員会を組織して「スカイライントレイル菅平」がスタートする。
「“コースがいい”と評判はよいのですが、ブームとともに他の大会が増えたので、参加者数は減少傾向にありました。そこにコロナ禍の大打撃を受け……。今回は、大会運営を大きく見直し、新たな挑戦として臨みました。この大会を、もっと大きくて特色のある、上田市の自慢のイベントにしたいと改めて願っています」(大久保さん)
トレイルのレースは、当日だけでなく、事前の準備に時間と手間が掛かる。コース整備に山へ入って作業を行い、前日にも標識やエイドを設営し、当日もコースに張り付く。運営の在り方や人員の配置などの課題が山積みで、新しい実行委員会も暗中模索だという。


大久保さんは、馬術競技では国体優勝の経歴を持ち、29歳まで馬術競技に関わる仕事に従事していた。
「このイベントで菅平を好きになって、レース以外の時期にも来てもらえたら嬉しいですし、海外からも参加も大歓迎です。レースではなく、家族でゆっくり根子岳に登るのもいいですし、菅平にはゴルフ場やキャンプ場、そして温泉もあります」(大久保さん)
菅平を擁する上田市には、風光明媚な美ヶ原やワイナリー、街の中心部には昭和レトロな飲み屋街まである。さらには、別所温泉や鹿教湯(かけゆ)温泉などの温泉地もあり、北陸新幹線に乗れば、東京から1時間30分ほどでアクセスできてしまう。
「新鮮で瑞々しいレタス、寒暖差で甘味が増したトウモロコシは、菅平ならではのご馳走です。菅平の高原野菜は、ホテルや旅館、ペンションでも提供されますし、地元スーパーでも買えます。今年から、運営にアンダーアーマーが加わってくれたので、大会の規模を大きくして、走った後にバーベキューがあって、ゴールを切った皆さんと乾杯できるような元気なイベントにしたいですね(笑)」(大久保さん)


アンダーアーマーの日本でのマーケティングを統括する野田佳宏。
エリート選手が使用するカーボンプレート入りの軽量厚底のスピードモデルを発表するなど、アンダーアーマーはランニング市場でも急拡大しており、野田はその陣頭指揮にあたっている。
トレイルランのイベントに、アンダーアーマーが協賛する真の狙い
「菅平は、スポーツ合宿の“聖地”であり、その象徴がサニアパークとアリーナです。アンダーアーマーは、これらの施設を通じたアスリートへのサポートを目的に、ネーミングライツ契約を上田市と結びました。さらに私たちは、地域の方たちと一緒に、菅平の魅力を引き出すことに取り組みたいと考えています」
と語るのは、アンダーアーマーを日本で展開するドームの野田佳宏。「スカイライントレイル菅平」への協賛サポートだけでなく、今回、社内のランニング部のメンバー7名とともにレースも走るという。野田自身、学生時代にラグビー合宿で何度も菅平を訪ねた思い出の地だとも話す。
「学生時代にダボスの丘まで駆け上がった記憶はありますが、根子岳や四阿山(あずまやさん)の美しさには、(多くの部活生と同様に)気付くことができませんでした。でも、トレイルランニングを通じて、キツイ思い出ではなく、菅平の魅力を再発見しました(笑)。菅平の魅力を、『スカイライントレイル菅平』の参加者の皆さんにも感じて欲しいと願っています」(野田)
アンダーアーマーは、トレラン以外にも「菅平高原カントリーフェスティバル」という市民交流イベント(2024年は雨で中止)や、「上田古戦場ハーフマラソン」「信州爆水RUN in 依田川」なども協賛する計画がある。さらに8月末に開催予定のバスケットボールの中高生向けイベント「UA NEXT」も菅平で行う予定だ(12月には、中高生向けの野球のイベントも計画中)。


元ラガーマンにして、ランナー、アウトドアズマン。今回の「スカイライントレイル菅平」にも30㎞のロングの部に参戦。
「トレイルランには“キツイ”イメージがあるかもしれませんが、実はいろいろな楽しみ方があります。『スカイライントレイル菅平』にも、丘を巡る15㎞、レース初挑戦にも最適な30㎞があります。景色も素晴らしいので、“何かに挑戦したい”、“もっと自分を高めたい”という人たちの背中をアンダーアーマーが押したいと考えています」(野田)
アンダーアーマーの本国アメリカでは、アウトドアの商品開発が盛んに行われ、シューズを含めた多様なプロダクトが展開されている。日本でもランニングの楽しみ方が多様化してきており、「スカイライントレイル菅平」のような一般の方でも参加しやすい大会を通じて、アンダーアーマーランニングの幅の広さを伝えたいのだという。
「大会は17回ですが、アンダーアーマーにとっては今回が初協賛です。なので、まずは社員から参加者を募りました。初めてトレイルを走るメンバーも半分いるので、アウトドアの環境に必要なウェア類やシューズを含め、アンダーアーマー製品の優位性を改めて知るよい機会になりました」(野田)




上)トレランレース初挑戦の伊藤直樹。アンダーアーマーを日本で展開するドームでは、Eコマース部で開発・運用を担当。ランニングを始めたのはここ2年ほど(ベストタイムは2時間59分30秒)。
下)伊藤が履くアンダーアーマーのトレイルランニングシューズ《UAソニック トレイル》。
「トレイルのレースには初参戦。気持ちよく走れました」
「日差しが強くて暑かったのですが、木陰は風が通って気持ちよかったですね。最初の上り、めっちゃキツくて、脚を使っちゃいました(苦笑)。上りでの心拍数は180(拍/分)ほどで追い込みましたが、足を止めたら心が折れるので、根子岳への上りは休みませんでした」
とレースを振り返るのは、トレランレース初参加の伊藤直樹。伊藤が勤めるドームでは、サッカー部とランニング部に所属する健脚の持ち主である。シューズからバックパックまで全身〈アンダーアーマー〉のアウトドアラインを身に纏い「スカイライントレイル菅平」に参戦した。
「フルマラソンを走った経験があって、でもトレラン初めての人にまさにピッタリなコースだと思います。アンダーアーマーのトレランシューズは、オールラウンドに使えるので、今回のレースのように、ロードも山道も林道もあって、泥や岩もある変化に富んだ路面でもグリップが効きました。価格も手ごろなので、このシューズの存在をもっと知ってもらいたいです」(伊藤)




ドームではマーケティング部に所属し、直営店や量販店の売り場作りを担当する神戸美緒もトレイルランのレースは初挑戦。フルマラソンは5回(ベストタイムは3時間58分)。「初めてなので、制限時間内に帰ってこようと思っています」。
「秘密兵器は、サポート性が高くてストレスに感じないスポブラです」
「自分が上ってきた道を見下ろしながら、壮大な景色を眺めながら走れたので、楽しかったです。根子岳の頂上は晴れたので、写真も撮りました(笑)。次回は、登山をしている仲間も誘い、ゴールした後も菅平に泊まって、みんなでワイワイしたいですね」
と語る神戸美緒も、トレランレース初参戦。大学時代はソフトボールに打ち込み、社会人の今は登山やランニング、トライアスロンもこなすという。その神戸が、今回のために秘かに用意した秘密兵器がある。
「アンダーアーマーは、もともとコンプレッションウェアから始まったブランドなので、スポーツブラもフィット感が抜群です。スポーツの種類によっていろいろ選べるので、今回は、脚のテーピングと同じく、下りでのサポート性があって、長丁場でもストレスに感じないタイプを選びました」(神戸)




菅平高原の夏のレタス畑を抜け、スキー場のゲレンデなど巧みに配したコースレイアウト。そして最後に根子岳が待っている。
「菅平をスイッチに、上田から全国へ地域おこしのつながりを拡げたい」
アンダーアーマーのアメリカ本社は、東海岸のボルチモアにある。同社は地域おこしに積極的な企業としても知られ、ボルチモアのパブリックな場所のそこここでUAのロゴを目にするという。こうしたアンダーアーマーの地域おこしのカルチャーは、日本でのサッカー「いわきFC」の誕生と成長の物語に相通じるとも言えよう。ここで再び、アンダーアーマーの野田の言葉を紹介したい。
「アンダーアーマーのサポートで誕生した『いわきFC』は、今では独立し、地域おこしに貢献するチームとしてJ1を狙えるまでに成長しました。『いわきFC』はひとつの成功例ですが、そのDNAを別の形で、菅平でも活かせたらと考えています。菅平は、あくまでスイッチです。菅平に火がついたら、その隣にもつながるし、上田市全体そしてさらに大きく拡がることを期待しています」(野田)
ラグビーの“聖地”である菅平には、“ノーサイド”という言葉が似合うと野田は続ける。ラグビーのカルチャーでは、“試合終了”を“ノーサイド(敵味方なし)”と呼ぶ。ゲームが終わった後に、相手と語らってリスペクトしあい、最後のエール交換まで行うことが1つの試合だと捉えているのだとか。
「地域おこしには、乗り越えなければならない課題が山ほどあります。意見が分かれていても、第三者としてアンダーアーマーが入ることで、いろいろ動くことがあります。僕自身“ノーサイド”という言葉が好きなんですよ。ちょっとベタですが(笑)」(野田)
上田市とアンダーアーマーが取り組む、「アンダーアーマー菅平サニアパーク」および「アンダーアーマー菅平アリーナ」の活動のレポートは、今後も随時、発信していきます。
取材・文/大田原 透 撮影/池田吉則(日広)、花岡秀崇(日広)、松倉慎(日広)、向原純一

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